11月7日掲載の日経新聞2面に【迫真・商品市場動乱】「燃料補助金もうやめて」というコラムが載っています。これが燃料補助金を熱望する立場と思われるトラック事業者の本当の声と知り、あらためて「補助金」というものの性質について考えました。
トラック事業者の悲鳴
今回の原油高以前に、労働者不足、低賃金など構造的な問題を抱えています。価格体系そのものを変えることは急務です。そのため、努力を重ね効率化やサービスの向上を実現し、価格改定にたどり着きます。しかし、その度に「燃料補助が続くなら値上げは認められない」と荷主側から宣告。このように、本コラムはトラック事業者の悲鳴を伝えています。
日本の生きる道
資源とエネルギーのない我が国「日本」。急激な人口減少のさなか、経済大国からハイクォリティー国家へ、必死に転身しようとしています。言わずもがな、転身できなければ衰退が待ち受けています。
こうして、製品価値に見合う価格体系をつくれない中、前向きな企業家はいかにして自社商品の価格を上げるか知恵を絞っているのです。
一方で、世界は環境適性の視点から脱炭素を目指しています。そのため、日本政府としてもGX(グリーン・トランスフォーメーション)により脱炭素を包含するニュービジネスを推奨しています。
本コラムでは、トマト栽培業者がビニールハウスで重油をふんだんに使ってでもハイクォリティーのトマトを作ろうとする事例が挙げられています。粘り強い経営者のしたたかな戦略です。ハイクォリティーは良いのですが、これも補助金のミスリードのように思えます。
足枷(あしかせ)
足枷とは人間が前に進むことを妨げるものです。
燃料補助金は一時の急場をしのぐ対策。故に、何度も継続することで、消費する立場からすればそれが当たり前になるだけです。当たり前になることで、価格改定の足枷(=賃金アップの足枷)に。さらに、GX推進の足枷になってしまうでしょう。
おしなべて、補助金とは継続すべきものではないということです。