賃金を上げようと、政府、労組、経済団体が一斉に声を上げています。かくいう私も、賃金を上げたいと考えております。
中小企業の悲鳴
公正取引委員会等では、コストアップが売価に反映できているか調査をしています。実は、売価アップの交渉材料として「賃金アップ」は含めづらいという風潮があります。原材料やエネルギーコストは認められるのに、なぜなのか。そこだけは、生産性の向上で賄ってほしいという話になるようです。サプライチェーンにおいて、川上の資源・エネルギーの供給は大企業が比較的多く、値上げは確定路線です。そして川下の流通産業は消費者直結。そのため、売価アップに大変慎重です。その結果、中間に位置する中小企業は悲鳴を上げることに。
合成の誤謬(ごびゅう)
合成の誤謬とは、ミクロの視点では正しいことも、合成されたマクロの世界では必ずしも意図しない結果が生じることです。まさに今、これが起きているのです。
個々の賃金は上げるべきですが、その当然の帰結となるはずの売価アップは認められない、ということです。
賃売シンクロ
個々の賃金アップを実現させる為には、社会全体に賃金アップが売価アップに反映される「賃売シンクロ」の風潮を当たり前にしたいものです。