11月20日から25日まで富山商工会議所海外経済視察のミッションでベトナムのホーチミンとハノイに行ってまいりました。ハノイの朝は、おそろしいほどのオートバイの群れが延々と続きます。
忍法・身さらしの術
朝の散歩中、信号機のない横断歩道を渡ろうとする私。ですが、オートバイの群れは5分待っても全く途切れることはありません。渡るのはそろそろあきらめよう。すると、腰の曲がったベトナム笠のおじいさんが隣にやって来ました。おじいさんはいったん立ち止まり、おもむろにゆるゆると歩を進めます。なんと、止まることなく横断歩道を渡っていくではありませんか。不思議な光景でした。驚くことに、オートバイの群れはしっかりとおじいさんを避けていきます。そこで私はびくびくしながらも、おじいさんの後から離れることなく渡りきりました。渡ってからおじいさんは私をにやりと見たのです。
私はおじいさんの動きを『忍法・身さらしの術』と名付けました。私はオートバイを避けようと隙を狙っていましたが、おじいさんはオートバイに自分を避けさせていたのです。おそらく、おじいさんの規則正しいゆっくりとした動きが、オートバイ達に予測のしやすさを与えていたのだと思います。
日本の出会いがしらの事故
日本では信号機のない交差点で、車と左右からの自転車などとの出合いがしらの事故が後を絶ちません。この事故は、停止線でしっかりと車を止めさえすれば殆どが防げます。
このことは頭では理解していたのですが、今回のベトナム笠のおじいさんの動きをみて腑に落ちました。自分が相手の存在を知る前に、相手に自分の存在を知らせることが肝要なのです。停止線を少し越えて止める車が多いのは、停止線で止まっても左右が見えないため見えるところまで車を進めてしまうことが原因です。自分が左右を確認できるところまで「すうっと」出てしまうからぶつかるのです。
皆様、停止線できっちりと止まりましょう。それから、ゆっくり前に出ましょう。
あの線の位置にはしっかりと理由があるのです。